Prologue Japanese
我々の世界。‥そこには、理屈では計りしれない様々な現象, 不可思議な事実が存在して いる。しかし、多くの人々はそれを比定し、信じようとはしない…………。
だが、ささやかな幸福と秩序にしがみつき、 姑息な欲望と快楽を追い求める人間達の周辺には、時間と空間を遙かに越えた闇の世界が広がっているのだ。
オレは、その闇を恐ろしい程に知っている…
オレの名は紫藤龍彦。
横浜のとある場所に事務所をかまえる私立探偵だ。だが、オレが引き受ける仕事は、“闇 ”。
つまり、冥府の闇“ミディアン”より居出たる種族“ナイトブリード”を闇夜のうちに狩り、葬る事がオレの役目‥いや、宿命なのだ
そう、オレの正体は、闇の番人ヴァンパイア ! またの名をナイトウォーカー!
美しい闇を汚す者は、許せない!!
[グニ]ケケケケケッ!
[紫藤]ん? グニ!?
[グニ]ケケケッ! またの名をナイトウォー カーやて!? カッコつけてからに。自分で 、そう名乗っとるだけやないか!
[紫藤]うるさいぞ、グニ。お前は引っ込んで ろ!
[グニ]おまけに、ヴァンパイア言うてもハー フやないか!
[紫藤]黙れ!
[グニ]龍彦が、あんまり臭いセリフ かますよ ってに、むず痒くて出てきたんや!
[紫藤]まったく、口の減らないヤツだぜ。
[紫藤]この、憎たらしい闇妖精はグニ。
[紫藤]自分じゃ、オレの相棒だと思っている らしいが、オレの左耳に巣くっている単なる 使い魔だ。
[紫藤]で、何の用なんだ!
[グニ]つれないやっちゃな。
[グニ]昨日のアレ。ちょっと、気になってな ...
[紫藤]昨日のアレ?!
[グニ]そう、アレや。どうなったん?!
[紫藤]別に、どうもしないぜ。
[紫藤]面倒な事に巻き込まれるのは、ゴメン だからな。
[グニ]けっ、冷たいやっちゃな。うら若き少女がナイトブリードに殺されたって言うのに …それで、おしまいかい!
[紫藤]仕方ないさ。オレには、死んだ者を蘇らせる事なんか、出来ないんだからな。
[グニ]やっぱり、ヴァンパイアってのは、血 も涙もないな。龍彦はハーフやから、少しは人情あると思っとったんやけど。
[紫藤]いまさらどうしろってんだ。
[グニ]あっ、わかった!! ホンマは自分の 獲物を横取りされたんでおもしろないんやろ ?
[紫藤]グニ、いいかげんにしろ! 何でオレが なきゃならないんだ!!
[グニ]冗談や、冗談!
[グニ]そないに、怒らんでもええやろ……。
[紫藤]お前に、オレの気持ちがわかるか。
[グニ]わかってるがな。ホンマは、あの子を助ける事が出来んで、落ち込んでるんやろ?
[紫藤]ちっ!
[グニ]龍彦とは、長い付き合いや、そのくらいわかるわ!
[グニ]その辺が痛いほどわかるさかい、こう して冗談言うて、元気だてもらおう思うてるんやで。ホンマ、辛いわ!
[紫藤]バカ野郎! ちっとも、冗談になってないぜ!
[グニ]ところで、さっき独り言、言いながら ポケットの中でチャラチャラやってたのはなん?
[紫藤]これか!?………。
[グニ]ペンダント!? なんや、きったないな。
[紫藤]昨日、殺された女の子のそばに落ちていたんだ。
[グニ]ルーンの印!? 召喚なんかの儀式に使う奴みたいやなあ……。
[グニ]女の子が、どうしてこんなモン、持ってるんや?!
[紫藤]オレに聞くな。
[グニ]証拠物件やろ!? 警察に渡さんでええんか!?
[紫藤]オレが行かなくても、そのうち弥生から何とか言ってくるさ!
[グニ]それも、そうやな。
[グニ]…なあ、龍彦。さっきは、面倒な事に 巻き込まれるのはゴメンとか言いよったけど。やっぱ、何かしよう思ってるんやろ!?
[紫藤]オレは別に、そう言うつもりじゃ…。
トゥルルルルルルル………
トゥルルルルルルル………
トゥルルルルルルル………
[グニ]あっ、電話や!
[グニ]きっと、弥生からやで!
[紫藤]だろうな。
ガチャッ!
[紫藤]はい、紫藤探偵事務所!
[弥生]龍彦!! 一体、どういう事か説明しなさいっ!!!!
[紫藤]どうしたんだ弥生!? 事件でもあったのか!?
[弥生]何とぼけてんのよ! 昨日の埠頭の事件に決まってるでしょ!!
[弥生]とにかく、詳しい話を聞きたいから、今すぐ警察まで来てちょうだい!!
[弥生]来ないと、逮捕するわよ!!
ガチャン!!
[紫藤]ちぇっ!
[グニ]切りよった……相変わらず無茶苦茶言いよるなあ!
[グニ]どうするんや龍彦。警察に行くんか!?
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